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COLUMN

#DAJ原料を巡る旅
「北海道産和ハッカ精油」

デイリーアロマジャパンでは、定期的に原料メーカーや、生産地を訪問しています。 実際に目で見てきた生産風景や原料が育まれてきた気候、訪問先でお聞きした生産者の声を『原料を巡る旅』と題したコラムとして連載しております。

自然豊かな土地で大切に育てられた和ハッカ

今回は、夏の人気シリーズすーっと香る北海道和ハッカに配合している和ハッカ精油の原料である北海道北見市・滝上町にお邪魔しました。ホクレン農業組合の方にご協力頂き、和ハッカ農場や抽出工場などご案内頂きました。そこで教えて頂いた和ハッカの歴史や生産者のお話を前編・後編に分けてご紹介したいと思います。

北見駅到着

取材に訪れたのは、和ハッカの収穫・蒸留時期のピークとなる9月上旬。
羽田から北海道・女満別空港まで直行便でおよそ2時間のフライト。さらに、バスに揺られて1時間。北海道の東部に位置するオホーツク圏最大の都市、北見市に到着しました。
最近では平昌オリンピックで史上初のメダルを獲得したカーリング女子日本代表を輩出したカーリングの町としても有名です。

北見ハッカ記念館

ハッカといえば北見。かつては世界最大のハッカ生産量を誇っていた時期もあり、現在もその名残がある街ですが、今現在ハッカ生産のほとんどは旭川市と紋別市のちょうど中間に位置する滝上町で行われています。
戦後、外国産に押されたり合成ハッカが誕生したりし、北見のハッカ産業は衰退していってしまいました。しかし、滝上町がハッカの栽培を継承。現在では日本の和ハッカの生産量約95%を占める一大生産地となっています。
かつてハッカの生産地であった北見市にある北見ハッカ記念館は、1934年ホクレン北見ハッカ工場が開業した翌年に事務所兼研究所として建てられた後、工場の閉鎖とともに北見市に寄贈されました。2007年には日本近代化産業遺産に認定され、当時のハッカ生産の歴史を今に伝える貴重な資料館です。ハッカの歴史などを館長さんにわかりやすく、楽しくご説明頂きました。

記念館前で育てられてる和種ハッカ。

暖かい季節には記念館の周りにハーブガーデンもあり、さまざまな種類のハーブを見ることができます。ハーブガーデンで採れたハーブやハッカ草は、ハーブディーにしたり蒸留館で使用したりと一年を通し楽しめます。

薄荷とペパーミントの違いって?

どちらもスーッとする清涼感が特徴ということは多くの方が知っていると思います。ミントというのは元々英語で「Mint」。その自生力の高さから世界に600種あるとも言われているシソ科ハッカ属の植物全ての総称です。「Mint(ミント)」に対する日本語が「ハッカ」。つまり、「ハッカ」は「ミントの日本語名」になります。

よく知られているハッカ油というのは、このハッカからとったものです。ハッカの葉を乾燥させ、水蒸気で蒸留して抽出します。ハッカ油は葉全体の1~2%しか含まれていないため、ハッカ油を作るには大量の葉が必要です。薄荷という名前の由来は、ハッカの葉をハッカ油にすると荷物が少なくなるので薄荷(ハッカ)と呼ばれるようになったそうです。ハッカもミントもシソ科の植物で、清涼感のあるハーブというくくりでは同じですが、植物自体が異なるのでそれぞれ成分が異なります。中でもメントール の含有量はハッカが70~80%以上に対し、ペパーミント40~50%と大きく違ってきます。

なぜ北見地方でハッカ栽培が栄えたのでしょう

国内では平安時代にすでに栽培が始まっていたようですが、北海道におけるハッカ生産のルーツは当時日本最大のハッカ産地だった岡山県。 そこからの移住者が明治時代に北海道にハッカ栽培をもたらしたそうです。気温の年較差が大きく、少雨という気候的要因ゆえに、この地域は栽培に適していたようです。またハッカが他の農作物に比べて収益が多い(最大10倍とも言われた)ということもあり、北見を中心にハッカ栽培農家が急増しました。こうして北見地方でのハッカ栽培の基礎が据えられ、栽培地域は拡大し、現在の北見市にハッカ栽培が広まっていきます。

北見薄荷の発展と衰退

明治35年ごろから生産が始まった北見ハッカは昭和14年に全盛期を迎え、世界のハッカ市場のシェア約70%を占めるまでに成長していきました。現在の北見の礎を形成する重要な産業となりました。しかしその後、安価で手に入る合成ハッカの登場により、天然である北見のハッカ産業は衰退していきました。姿を消してしまった北見のハッカでしたが、滝上町がハッカの栽培を継承。現在、ハッカを手がける農家は10数軒ですが、栽培から精油精製まで一貫して行うほか精油を使った商品を開発し、販売もしています。 輸入ハッカや合成ハッカと違い、今では滝上町の自然が生んだ安全・安心のハッカが見直され、医薬品や観光土産などとして注目を集めています。

夏におすすめの使い方

さわやかな香りがスーッと広がる「ハッカ精油」。主成分であるメントールは、体を冷やさないのに清涼感を感じられるという特徴があり、近年暑い夏を快適にのりきるアイテムとして人気が出ています。お使いのシャンプーを手元で泡だてハッカ精油を数滴混ぜて洗髪してみてください。ひんやり感が頭全体に広がり爽快感が気持ちよく感じられます。お風呂に2〜3滴ハッカ精油を垂らしてハッカ風呂もおすすめです。シュッとひと吹きですっきりクールダウン出来るボディスプレーはハッカ精油2〜3滴・無水エタノール10ml・水90mlを混ぜてスプレー容器にいれれば完成です!またタオルを水で濡らし、ハッカ精油を2〜3滴垂らして揉み込んだものを脇や首筋にあてるのも暑さ対策には効果的です。ぜひみなさんも、ハッカ精油を日々の暮らしに取り入れて、すっきり爽快に過ごしてはいかがでしょうか。

薄荷の花

二日目は、滝上町に向かい滝上町で採れる和ハッカを管理されているJAオホーツクはまなす農業協同組合の方と一緒に、和ハッカ農家さんの畑や蒸留場にお伺いさせて頂きました。お伺いさせて頂いた9月はハッカの収穫時期になります。、成長したハッカは、花と茎部分が淡紫色に染まるのが特徴で、あたり一面にハッカの花が咲き誇りとてもきれいで感動しました。さらに、うっとりするような透明感のある香りが漂い、思わず顔がほころびます。

薄荷畑

ハッカの栽培は本州や温暖な外国では二毛作も行われていますが、北海道では気温が低いため、一毛作で栽培しています。乾燥した葉からとれるハッカ精油はたったの1~2%ほどなので、精油を生産するには広大な土地が必要となります。さらに、ハッカを植えていると地力が落ちて酸性が強くなってしまうので、3~4年に一度土壌の入れ替えをしなければならないそうです。収穫するハッカの量に比べて生産できる精油の量が少ないこと、土壌の入れ替えをしなければならない、という2つの理由から、実際にハッカが栽培されている土地の倍以上の広さが必要になるのです。一毛作とはいえ広い土地を確保できるので、北海道がハッカ栽培に向いているのです。

収穫時期の薄荷

ハッカは5~6月に小さな芽を出します。この時期の北海道は桜がようやく咲くころで、まだまだ気温が上がらず、ストーブが手放せない日もあります。しかし、7月から8月に気温の上昇と共に一気にハッカも成長し始めます。この頃になると雑草も増えて来るため、収穫までは欠かさず草刈りを行うそうです。あぜ部分の草取りは小型の機械で行いますが、ハッカ草根元近辺についてはやはり手作業となる為、農家さんも一番大変な作業とおっしゃていたいました。またこの時期に心配な事が天候。最近では異常気象の為、天気が良すぎて伸びなない又は、雨が多すぎて育ちすぎてしまうなどハッカ精油の搾取量に大きく影響が出てしまうので苦労しているそうです。

島立てと呼ばれる乾燥方法

手間暇かけられたハッカは9月に収穫時期を迎えます。蒸留の前には葉を乾燥させますが、乾燥機を使用せず、「島立て」とよばれる製法で地面に直接葉や茎を立て掛け乾燥させます。乾燥機にかけると葉が裁断され、繊細な精油成分が壊れてしまうため、じっくり乾燥させその後、大きな蒸留窯で精油を抽出します。洋種ハッカでは、品質低下を防ぐため、2日程度の地干しを行い半乾草で蒸留を行いますが、和種ハッカは1~2週間程の乾燥期間を置き、自然乾燥をした後、蒸留過程へと準備されていきます。刈り取りが終わったあとの畑には地下茎が残されています。10月になるとこの地下茎を掘り起こし、バラバラにほぐしたあと、1本1本植え直す作業を雪が降る前に行い、次の年へと備えます。

蒸留窯

ハッカの精油は、葉を水蒸気蒸留することにより抽出されますが、滝上町で行われる蒸留は年にたったの1回。JAオホーツクはまなす農業協同組合が管理している蒸留施設を生産農家さんが共同利用しています。直径2m、深さ3m程の鉄製蒸留釜。その大きさに圧倒されてしまいました。この蒸留釜に乾燥ハッカを詰め込み、1時間ほど下から蒸気で蒸し上げて油を抽出します。抽出がピークを迎える9月~10月は、生産農家さん達が協力し合いながら蒸留を行うそうです。

生産農家さん

手間をかけて育てた大切なハッカから採れる貴重な和ハッカ精油。ハッカ栽培は生育が天候に左右されることや、無農薬栽培のため生産過程で手間がかかることなどから栽培を断念する農家さんもいらっしゃるそうです。今現在では滝上町の薄荷農家は十数件しかなく、減少傾向にあるそうです。特に問題になっているのが生産農家さんの高年齢化や人手不足。滝上町では貴重な和ハッカを知ってもらうため、様々なイベントに積極的に参加するなど取り組みを行っています。今回、原料を巡る旅として生産農家さんのお話を聞き、デイリーアロマジャパンでも和ハッカ精油の良さを多くの方に知っていただけるお手伝い今後も行っていきたいと思いました。北海道薄荷の優しい清涼感のある香りは夏場のスキンケアにぴったりです。